◇若い教師の誰もが通る「失敗の道」というものがあります。
もうずいぶん前から,若い先生は同じ失敗をしている,ということが教育現場では明らかになっていました。
では,どういう「失敗」があるのでしょうか?
例えば,「先生,◯◯してもよいですか?」と子供が個別に尋ねてくることがあります。
わざわざ「◯◯してもよいですか?」と尋ねにきているぐらいなので,「ちょっとルールやマナーからはみ出している」案件であることが多いのです。
ほんのちょっとした逸脱行動の確認をしてくるのです。
「鉛筆じゃなくて,シャーペンでもいいですか?」
「他の班の人とも相談したいので,席を動いてもよいですか?」
「時間がないので(休み時間に遊びたいので),簡単に感想を書くだけで提出してもよいですか?」
といった具合です。
これに対して,あまり深く考えず「いいですよ」と認めたとします。
すると,それが「ルール」となります。先生が認めてくれたと。
他の子も,同じような行動をとるようになります。
こうして,この少しの逸脱行動は,どんどん広がるのです。
◇ほんの少しの逸脱行動が認められたので,次は,さらにもう一歩踏み込んだ逸脱行動を尋ねてきます。
「先生,赤ペンも蛍光ペンも自由に使っていいですか?」
「いろんな人と相談したいので,席替えして良いですか?」
「授業のまとめは明日提出でもいいですか?」
時には,「質問すらこない」ということもあります。
拡大解釈して,ルールをどんどん広げていくのです。
◇逸脱行動は,雪だるま式に増えますし,拡大します。
いつも,「いいよ」と認めていると,最後は「無秩序」になります。
勝手に席替えをしている。
教師の指示を無視して,勝手に授業を終わっている。
そういった具合です。
◇最初のほんの少しの逸脱行動の質問に対し,きちんと教師が考えて,答えないといけなかったのです。
こういった「失敗の道」は,誰もが通っています。
問題は,その「失敗の道」を,教えてくれる人がいないことです。
だから,毎年毎年,新しい教師が誕生し,その新しい教師のほぼ全員が同じ「失敗の道」を歩んでいくのです。
これはちょっと「おかしい」状況です。
失敗の共有化が必要なのです。
◇本書「まちがいだらけの学級経営」(明治図書)は,失敗例を前半に示し,後半で失敗の分析を行いました。
つまり,典型的な失敗も知ることができますし,失敗からどう学べばよいのか,その方法もわかるようになっているのです。
本書の中には,多くの失敗談が出てきます。
実は,人の失敗からも,学べることは多くあるのです。
◇本書は学級経営のカテゴリーを5つに分けて紹介しています。
@集団づくり
A子ども対応
B環境・雰囲気づくり
C学級システムづくり
D行事・生活指導
学級経営の力は,すなわち,この5つのカテゴリーから成り立っているのです。
この5つのカテゴリーの典型的な失敗例を知ることは,学級経営の力を高めることに直結します。
5つのカテゴリーの内容を学ぶだけでも,多くの知識を得られるはずです。
しかも,失敗から学ぶことで,同じ過ちを回避することができるはずです。
また,自分が失敗したときにも,どういう反省の仕方をして,それをどう飛躍の種にすればよいのかもわかります。
失敗例を知り学ぶのと同時に,反省の仕方も学べるのです。
明治図書のHPで詳しく紹介されています。
明治図書ホームページへ
是非一度手に取ってほしいと思います。
以下の書籍と合わせて参考になるはずです。
【授業】
「本当は大切だけど,誰も教えてくれない 授業デザイン41のこと」
【学級経営】
「本当は大切だけど,誰も教えてくれない 学級経営 42のこと」
【学級経営】
「子どもを自立に導く 学級経営ピラミッド」明治図書
【授業】
「授業成功のゴールデンルール」明治図書
◇仕事マニュアルのページにも是非,アクセスしてみてください。
→ 新卒教師のための仕事マニュアルへ