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子どもの可能性を引き出し,伸ばす

教師の資質を高める 

いじめは絶対に許さない 教師の姿勢の話 


 いじめは絶対に許さない。

 このような話をします。


 いつするかと言えば,学級びらきから,すぐの方が効果的なのです。


 先生はいじめが嫌いです。絶対に許せないと思っています。

 それにいじめは,犯罪です。

 いじめはこの学級では許しませんよ。


 そんな宣言をします。


 ときには,「読み聞かせ」をすることもあります。


 例えば,「わたしのいもうと」などの本を読むわけです。


 子どもたちはシーンとなって聞いています。


◇さて,この話を,例えば,4月の2日目にしたとします。

 いじめに関する本も,読み聞かせています。

 いじめはしてはまずいな,と子どもたちは思っているはずです。


 ところが,やんちゃな子の中には,ついつい,去年と同じように,誰かに意地悪をしてしまうものです。

 そこを見逃さずに,追及すればよいのです。


◇実際,この話をして,すぐに,隣の子に意地悪をしていた子がいました。

 授業の中での,ささやかな行為です。

 隣の子の消しゴムを投げたり,隣の子を叩いたりするという行為です。


ほんのちょっとした行為です。

 しかし,これを問題とします。


 「はい。授業をいったん止めます。先生は今,絶対に許せないと思えるものを見てしまいました・・・。」


 声を落として真剣な表情で話し出したので,教室は静まりかえります。


 「今ね,ある子が隣の子の消しゴムを投げてしまったのです。それは意地悪です。いや,いじめとも思える行動です。こんな行動が先生は大嫌いだと言いました。絶対許せないとも言いました。」


 教室は,物音一つしないような静寂に包まれます。

 意地悪をしたやんちゃな男の子は,「俺のことだぁ・・。」と小さくなっています。

 
 「相手が嫌だと思ったらもう,それだけでいじめなのです。いじめは許さない,怒るぞって言いましたよね。」

 ここまで声のトーンを落として話しましたが,
 ここからは,表情も明るくして言います。

 「でも,まあ,最初なんで先生の言っていることがわからなかったということもあるでしょう。ひょっとしたら,間違ってしまったということもあるでしょう。今回は,呼び出して叱ることはしません。でも,次は,怒りますよ。」

 そう言って,授業をまた,開始します。


 指導の時間にすれば,たったの1分というところです。
 
 しかし,このことの効果は絶大です。

 たった消しゴムを投げてしまったという行為すら,そんな意地悪すら許さない。
 
 そういう小さなことでもダメなのか,それが子どもに理解されるからです。

 絶対に許さないという教師の決意が伝わるからです。


 これは,学級びらきから,2日目とか,3日目とか,最初の方なので意味があるのです。

 効果が絶大なわけです。


 この指導をしたあと,保護者や子どもたちの間で噂が広まります。

 先生はいじめだけは絶対に許さないと言っていると。

 こうして,いじめなんていけないんだ,いじめはしてはいけないんだ,という風潮ができてくるのです。


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