1 下書きをする
紙に下書きをします。
テーマを決めておくと,子どもも考えやすいでしょう。
例えば,「動物と楽しく遊ぶ自分」というテーマにします。
テーマが決まると,「どの動物にしようかな?」「自分以外に友達は何人出そうかな?」などとイメージを膨らませることができます。
下書きをするときにコツがあります。
それは,
本番の画用紙と同じ大きさの紙に下書きをすること |
ただし四つ切などの大きな紙を本番で使う場合は,下書きの紙の方が小さくなります。
その場合は,本番に使う紙を見せておいて,「本番はこの大きさだよ」と教えておく必要があります。
大きさがわかれば,子どももどれぐらいの大きさで紙版画を作ればよいのかがわかります。
動物を描かせる場合は,図鑑を用意しておくとよいでしょう。
2 紙版をつくる
厚めの画用紙で紙版をつくります。
(1)下絵を描く
動物を紙版にします。
動物の絵を画用紙に描いていきます。
このとき,四つ切の画用紙で完成させるつもりなら,大き目に絵を描くとよいです。
子どもの中には,小さく小さく描いてしまう子がいます。
小さすぎると,うまく版画として表現できない場合があるので注意しましょう。
(2)はさみで切る
下絵が描けたら,はさみで切ります。
版をつくる上での最大のコツは,次の点です。
でこぼこをつくること |
鉛筆で描いたから安心・・・と思っていると,全部つぶれてのっぺらぼうのようになってしまう場合があります。
ちゃんと線として版画にうつすためには,かならずでこぼこができていないといけません。
(3)のりやボンドで貼る
画用紙でつくった部品をのりや木工用ボンドで貼っていきます。
ボンドでつけると,かなり丈夫にできあがります。
色画用紙の上で下絵を組み立てると,よく見えてわかりやすいです。
このとき,紙の質がごわごわしているものや,ボタン,毛糸などをボンドでつけていくと,版画でおもしろい模様が表現できます。
ボンドがちゃんと乾くまでしっかりと待ちましょう。
のりやボンドが乾く前に刷ろうとすると,ローラーに貼り付いてしまいます。
3 画用紙に背景や人物などを書いていく
メインの動物などの紙版が完成したら,四つ切の画用紙に,背景や人物を鉛筆で描いていきます。
描けたらマジックでなぞるように言います。
版画にできないような細かい人物や、細かな背景は水彩絵の具で塗るようにします。
4 刷る
画用紙に背景が書けた人から、刷っていきます。
ただし、本番用の紙に刷る前に必ず,試し刷りをしましょう。
このときは、試し刷りを1人2〜3枚はさせました。
最初は、色が少し薄いぐらいでやってみます。
インクが多くて,べたべたな版画ができあがると,きたなくなって、版画を嫌いになってしまう子もでるからです。
薄くて,淡い色が表現できると,子ども達もため息をもらして,「きれいだな〜。」などと感想を言います。
試し刷りでは,色を薄く。
本番では,ほんの少し色を濃くするというイメージです。
(1)インクをのばす
インクは少なくして,よく伸ばしてローラーに馴染ませます。
(2)ローラーで紙版にインクをつける
まんべんなくつけるのがコツです。
端まできちんとつけるように言いましょう。
(3)こする
ばれんをかけるときには,内から外にこするのが基本です。
ただし,私の場合,手でこすらせることが多いです。
紙版の場合,ボタンや毛糸などいろいろなものを乗せていることが多く,段差が激しいと,きちんと刷れないことがあるからです。
手で刷る場合は,細かい部分にも指が入ります。
子どもも,刷っているという実感が手の方があるようです。
ばれんで刷るよりも,手で刷った方がきちんと完成できる子が多いなと感じます。
(4)同じ物をたくさん刷る
同じ動物をたくさん登場させたい場合は,同じものを複数刷るようにします。
例えば,魚やカニなどの動物が海にたくさんいるところを表現したいのであれば,3匹も4匹もここで刷っておきます。
5 四つ切の画用紙に貼る
版画が完成したら,その形にはさみで切ります。
版画の形の輪郭に沿って、上手に切りましょう。
切ったものを,「先ほどマジックで背景を書いた四つ切の画用紙」に貼ります。
6 色をつける
水彩絵の具で,背景や人物など,細かいところの色をつけていきます。
紙版を貼った部分には,基本的には色は塗りません。
水彩絵の具だけでなく,クレヨンを使ってもおもしろくできあがります。
水彩の色の中に,版画の動物があり,とても美しい絵ができあがります。