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子どもの可能性を引き出し,伸ばす

教師の資質を高める 

あいまいな箇所を検討する 〜三木露風「晴間」〜 


 

全部で3連あります。この詩を読んだ話者は,どこにいるのか?ということが問題です。これがわかれば,情景が頭に浮かんできます。
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 ◇1連の部分を絵にしてもらいました。いろいろなことが問題になりました。

雨はどこで降っている?明るみはどこなのか?雷はどこでなっているのか?

詩を読んだ人は,空から景色を見ているのか?

それとも,山の頂上で景色を見ているのか?

また,山の中で景色を見ているのか?


 ◇話合いの中で,「明るみに」とはどこを指すのかで意見がわかれました。

@話者の周りは暗くて,遠くに見える明るいところへ雨が降っている

A話者の周りは明るくて,周りは暗くなっている。話者の近くで雨が降リ始めた。

Bその他(話者の周りは暗くて雷がなって明るいところに雨がふっている。 など


 話者の周りが「明るい」のか,雨の降っているところが明るいのか。

 はたまた,話者の周りが明るくて,雨は遠くでふっているのか???

 普通に考えると,Aのような気がします。ですが,辞書を引いていた人が決定的な意見を言ったので,論争になりました。

 「雨そそぎ,の,「そそぎ」というのは,ある方向へ流れるという意味で,この場合は『明るみに』という方向へ雨が流れているのだと思う。だから,話者の周りは暗く,遠くの明るい方へ雨が降っているはずだ。」

 辞書にのっていたということがあって,一同なるほどと,一応納得。

 でも,明るい方向へ(つまり太陽の方へ)雨が降るの??

自分の周りが明るくて,周りは暗い中雨がふっているのではないか,という意見も根強く残りました。

面白いもので,一連の情景がみんなバラバラだったのです。


 

◇国語なので,言葉にこだわらなくてはなりません。

また,詩全体を読んで,推論することも必要になります。

 意見が分かれると,子ども達は,言葉一つ,文章一つにこだわるようになります。

 詩全体をもう一度読んで,風景を,情景を思い浮かべようとします。

 意見が分かれたまま決着がつかないこともあります。

 でも,討論を通して,より蓋然性の高い解釈が生まれたらよいのだと思っています。

 より妥当性のある読み方,より美しい読み方,よりおもしろい解釈,そんな子どもの読解が生まれるような授業がしたいと願っています。


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