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子どもの可能性を引き出し,伸ばす

教師の資質を高める 

漢字の成り立ちを教える 


 

5年生の漢字の成り立ちを教える授業。
@漢字の起源,A象形文字,B指示文字,C会意文字,D形声文字,及びE形声文字を見て,どの部分が音で,その部分が意味を表しているのかを分析する,という学習が2単位時間で組まれている。
大変多くのことを2時間で教えなくてはならない。
そこで,映像を使って,効率よく,しかも楽しく学習できないかと考え,授業案をつくった。
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1.漢字の起源を知る

発問1 漢字はいつ生まれましたか。

 参考として,ひらがながいつできたのかを伝える。ひらがなは1200年前である。
 ひらがなと同じくらいで1000年,4000年(中国4000年の歴史だからという言葉から),2003年などいろいろでた。
 漢字は今から3000年前にできたということを伝える。

発問2 では,漢字はどこで生まれましたか。

 予想させ,発表の後,中国で生まれたということを伝える。
 クラスでは,日本,中国などが出た。
 スクリーンに甲骨文字と金文の画像を順番に映す。
 漢字の起源である様々な文字を見せる。起源の文字は,人の形や物の形をしているものがある。象形文字のヒントにするわけだ。

説明1 これは甲骨文字といって,一番昔の漢字は,亀の甲羅や,牛の骨に書いていました。   
 また,金文といって,硬い金属に刻まれた漢字もありました。どちらも,硬いので,刀で傷をつけて書いていたそうです。


 子どもたちはスクリーンにくぎ付けで,今と全く異なる漢字に興味深々であった。
 今日は,漢字がどうやってできたのかを学習していくことを伝える。

2. 象形文字を理解する。

発問3 最初の漢字は,ものをかたどって作られました。この絵は何の漢字を表していますか。

 Webワークで示す。 
 人の絵から,人という漢字であることが理解できるはずである。
 簡単な問題から提示する。教科書にも載っていることが多い。定番クイズである。

発問4 では,手足を広げている人これは,何の漢字ですか。

 大きいと言う漢字であることを説明する。

 続いて,問題を3つ出す。変化のある繰り返しで皆熱中した。
 
 頭の上に雲がある絵から→天
 地面にしっかりと立つ人の絵から→立
 頭に冠をかぶっている人の絵から→夫
 
 それぞれ,絵で提示する。絵の形と,文字の形が一緒だと理解できる。

発問5 このように漢字には,ものの形や様子からできたものがあります。     
     では,今度は逆に,漢字からもとになった絵を予想します。


逆思考の問いである。
こういった逆思考の問いは,授業ではいつでも活用できる。
月,夕,日のもととなった昔の漢字を順に提示していく。
子どもたちは自信満々に発表した。

発問6 太陽の真ん中に点があります。これは何を示していますか。

 何人かは,黒点であることを予想できた。太陽の黒点であることを伝える。

発問7 では,月の横棒は何ですか。

 クレーター,月のうさぎという意見が出た。
 Webワークで月のクレーターでできる影であることを伝える。

説明3 昔の人は正確に物事の様子を伝えようとしたことがわかりますね。

 なるほど,とうなずく子ども。昔の人はすごいという雰囲気が生まれた。


3. 指事文字を理解する。

発問8 では,少し難しい問題を出します。「上」という漢字はどのような絵からできたと思いますか。

 別角度からの問い,である。
 数名に発表させる。
 ここで,上という漢字は絵に表すことができないことがわかるはずである。

説明4 正解は絵に表すことができない,です。昔の人は絵に表しにくい事がらを,印などで表したのです。

 Webワークから,指事文字がどのようにして生まれたのかを理解する。

発問9 ではこれは,何の漢字ですか。本(もと)の絵を提示する。

木の根元の太い部分を,印「一」で示し,木の根元を表したことからこの漢字が生まれたことを説明する。

発問10 では,木の上のほうに印「一」をつけたもの,これは何の漢字を表していますか。

 木の上のほうに印「一」をつけて,もとから遠いことを示して,「末」という漢字になったことを説明する。

指示1 今日の授業の感想を書きなさい。


 様々なところに,授業技術が使われている。
 もちろん教科書通りに進めているのだが,ちょっとした技術を取り入れることで,子どもたちは「漢字っておもしろいな」と思えるようになる。

 授業技術は,拙著「授業成功のゴールデンルール」(明治図書)に詳しく載っている。



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