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子どもの可能性を引き出し,伸ばす

教師の資質を高める 

ボランティアの授業 「足尾銅山の緑化」 


 

◇ボランティアを教える授業です。

 ボランティアの人の頑張りを紹介するときに,「思考させる」ことがポイントになります。

1 足尾銅山について知る  

写真を見せます。

発問1  どんな山ですか。   

 木がない。岩だらけだ。など。

発問2  どんな山ですか。   

 緑が多い山,自然が豊かな山など。

説明1  実は同じ山なのです。

最初に見せた映像は今から30年前のものである。

現在は,岩だらけだった山が,緑いっぱいの山になった。
子ども達から驚きの声があがる。

説明2  足尾銅山といって,銅をつくっている工場がありました。
     その工場の煙のせいで,山の木は全て枯れてしまいました。

当時の足尾銅山周辺の写真を提示する。
山に木は一本もない。

説明3  木がないので,雨が強く振ると,洪水になり,栄養たっぷりの土も押し流して,ほとんど草も生えない土地になってしまいました。  

動画を提示する。   木が煙によって,死んでいき,その結果,雨で土が流されたことを押さえておく。  
後で,どのように緑を回復させていったのか,考えさせるための布石である。


2 ボランティアの人たちの努力を知る

発問3  木のない山にもう一度緑を取り戻そうと,ボランティアの人たちは立ち上がりました。

しかし,山は荒れ果てています。みんななら,どうやって緑を復活させますか。
考えてノートに書きなさい。一つでも書けたら持って来ます。   

一つ書けた子から板書させる。

いろいろと意見が出たところでストップする。
種をまく,植林する,土を運ぶなどの意見がでると思われる。

説明4  土をみんなで運ぶことにしたのです。   
一人で30キロもの土を山に運びました。
30キロというと,小さい学年の子を背負って山に登るのと同じである。大変な苦労であったことを知らせる。

説明5  さらに,運んだ土のところへ,木の苗を植えました。   
かなり急な斜面です。危険を承知で,山へ登って木を植えたのです。
動画から,かなり急な斜面に上って,木を植えていることがわかる。

発問4  ところが,雨が降って,やはり洪水になりました。    
土も苗も,全部流されてしまったのです。「もうだめか。」あきらめの声も聞こえました。    
それでも,いろいろと方法を考えるのです。みんなだったら,どんな方法を考えますか。 
たくさん土を運ぶ,草を土ごと運ぶと流されない,などの意見が出た。

説明6  今度は,土を袋に入れて,そして杭を打って流れないようにしたのです。      
これも,命がけの作業でした。  映像でその様子を提示する。

発問5  けどまだ問題もありました。
がけの部分には,人が土を運びに行くことができなかったのです。     
みんなならどうしますか。 険しい岩肌の写真を見せて,とうてい登れそうにないことに気付かせる。

説明7  人が行けない所は,ヘリコプターを使いました。     
大変なお金がかかりましたが,緑の復活のためにがんばったのです。
緑が戻るまで,何度も何度も,種を空中からまいたのである。

3 ボランティアの心とは

発問6 こんなにがんばった人たちをどう思いますか。
 「危険を承知で,それでも緑を戻そうとしたからすごい」,「何度も失敗してもあきらめない」

説明8  人間の手で汚してしまった自然を取り戻そうとがんばったのです。    
それが人のためになると思ったのですね。  

指示1  今日の授業の感想を書きなさい。


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