▼21世紀最初に教育現場に訪れたのは,「大量採用時代」でした。
ベテラン教師が、大量に退職し、新卒教師が大量に採用され続けたのです。
この時代ほど,若い教師に「即戦力」が求められる時代はかつてなかったものです。
時々,教育関係者で,次のような言葉を言う人がいます。
昔は本当に多くの教育関係者が言っていたセリフです。
「現場のことは現場に行ってから学べばよい」
本当にそうでしょうか。
果たして現場に出てから学び始めて間に合うのでしょうか。
▼新学期初日から、やることはたくさんあります。
最低でも、次のことはできなくてはなりません。
(1)子どもとの出会いの場面ではどうすべきなのですか?
(2)発達障害の特性と主な対応はどうすべきですか?
(3)学級のシステムはどうつくるべきなのですか?
これらのことを、現場に出てから学べば間に合うのでしょうか?
答えは、文部科学省の調査が示す通りです。
1年目で教職を去っていく人が増え続けているという事実が示す通りです。
現場に出てからは,やることがたくさんあります。
次の質問に「即答」できるでしょうか。
@「漢字の教え方の例を,たった一つでよいので,教えてください。」
A「水泳の教え方の例を,たった一つでよいので,教えてください。」
B「絵の描かせ方の例を,たった一つでよいので,教えてください。」
本当は,どれも三つぐらいはパッと頭に浮かんでほしいのです。
でも,新卒教師なら,せめて,一つぐらいは代表的な教え方の例を知っておかなければなりません。
漢字の教え方など,新学期2日目からやることだからです。
もっともっと,簡単な例で言えば,次の質問に答えられるかどうか,です。
「黒板のレールの穴は何のためにあるのですか」
「掲示物の掲示の仕方はどうやればよいのですか」
「給食の「おかわり」は,どうやればよいのですか」
どれも,取るに足りないささやかな教育技術・方法の例です。
でも,知らないと,何もできません。
いや,知らないということは,「それを知りたいとも思えません」。
もっと言えば,「そのことに,何らかのささやかな教育の意味があることを見いだせないということ」でもあります。
難しく言えば,『重要性』を感じず,「盲点」になってしまうのです。
▼若い教師が恐れないといけないのは,「盲点」をそのままに放っておくことです。
特に,授業と,学級経営は,「ごまかし」は通用しなくなります。
「ごまかし」が効くのは,新卒3年目ぐらいまで。
若いということで,周りが期待していないからです。
でも,20代も後半になってきたら,
まして30代に入ったら,
授業や学級経営の状態や結果は,他のクラスと比較されるようになります。
厳しい目で周りが見るようになります。
そのときまでに,先ほどの質問には,「即答」で答えられ,かつ,「たくさんの例が頭に浮かんだが,代表的な一つに絞って答えよう」ぐらいのレベルにまで到達していないといけないのです。