◆本書は,授業技術の大全集とも言える書です。 授業には,「こうすれば上手くいく」,「こうすれば子どもを伸ばせる」というやり方が存在します。 昔から脈々と伝わってきた,授業の技術です。
中には,数百年前から伝わる授業技術もあります。 古今東西に伝わる,授業技術を調べ,そして現代でも十分に通用する技術としてまとめたのが本書です。
本書の執筆には,10年を超える歳月が必要でした。
◆思えば,新卒の頃。
私の友人も,皆授業で困っていました。
初任者研修で出会った同期も,やはり授業で困っていました。
ごくたまに授業で困っていないという若手に出会うこともありました。
しかし,よく聞いてみると,「授業中のおしゃべり,不規則発言は当たり前のものとして,ほうっている。」とのことでした。
つまり,最初からあきらめているのです。
もちろん,普段の授業は騒乱状態だったそうです。
他にも,「授業は子どもが主役であり,教師は子どもを支援するだけなのだから,授業の上手下手も関係ない」といった人にも出会いました。 私には,納得いきませんでした。
「授業が上手い人が,授業の主役は子どもだよ,と言うのならわかる。」 「しかし,授業が下手なくせに,授業の主役は子どもだといって,授業の腕を磨こうとしないのは,「教師の逃げ」ではないのか?」 そう思っていました。
実は,「授業で困っている」と答えた教師の方が,教師としての誠意が感じられました。
◆ところが,学ぼうにも,授業大全集のごとき本は皆無でした。
若手の間で,このことが問題として挙がったことがありました。
『授業技術に関して,おおざっぱに楽しく解説してくれている本はある。しかし,全ての授業技術をまとめたような本がない』,と言うのです。
確かに,古今東西の授業技術をまとめた本は,皆無でした。
◆10年以上前に,私は,古今東西の授業技術を調べ尽くす決意をしました。 絶版の本が多く,手に入れるのに,数万円もする本がありました。
それを大量に購入しました。
絶版の本を調べ,在庫表示が出た瞬間に購入するといったことが続きました。
どうしても在庫がなく,大昔過ぎて手に入らない本は,図書館で調べました。 図書館にこもっていた日々が懐かしく思い出されます。
ひたすら本を読むという基礎作業を続けました。たった一人で,です。
少なくとも数百万円分の情報が,この一冊に詰まっていることになります。
◆本書の存在は,まだ,ほとんど知られていません。 心ある教師,志を同じくする教師に,本書の存在を知らせてほしいと思います。
それでこそ,私や私と同年代の教師が授業で苦しんだ日々が報われます。
今の若手は,同じような苦しみを味わう必要はありません。
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