◇教師の仕事とは,「子どもの可能性を引き出し,伸ばす」ことだと考えています。  よく次のような話を聞きます。 「教師は指導ではなく,支援をしましょう。」 「子どもがやる気になり,伸びていくのを待つのです。」 確かに,この2つは,とても大切なことです。 ですが,次のような話もまた,よく聞きます。
「待っていても子どもはやる気にならなかった。」 「支援だけだと,子どもの力を引き出せなかった。」 これは,いったい何が原因なのでしょうか。
◇その答えは,陸上競技を例にとると見えてきます。
100m走や,走り幅跳びを教えるとしましょう。
指導をせず,支援だけをしていて,子どもが伸びるでしょうか?
まして,子どもの可能性を引き出すことができるでしょうか?
陸上競技の指導をしてきた人なら,よくわかると思います。
待っていても,支援だけをしていても,子どもは伸びません。
そのまま,運動の得意な子は得意なままだし,苦手な子は苦手なままです。 大きな大会で入賞するなど,夢のまた夢です。
◇学級経営もまったく同じことが言えます。
教室を一日参観した先生や,一週間通して私のクラスを参観した学生が,私の学級を見て,次のような感想を言っていました。
「先生が言わなくても,子どもが自分からどんどん動いている。」
「先生は,極力何もしていないように見える。」 2学期にもなると,確かに,そうなります。 ですが,これは「ただ,子どもを支援しているだけ」なのでしょうか? 「子どもがやる気になるのを待っているだけ」なのでしょうか? 否です。 そこにいたるまでに,様々な「指導」があったのです。
では,その「指導の中身」とは何なのか。
本書で,具体的場面をあげて解説しています。
◇本書の特長は,「荒れた学級を受けもったとき,どうするのか?」を記している点です。
荒れた学級を立て直すまでの道筋を示しています。
さらに,すさんだ子どもたちを,勇気づけ,前向きな気持ちを引き出し,そして伸ばすまでの実践を示しています。
全て,現場での具体的場面を紹介しているので,現場経験があまりなくても理解できるはずです。
荒れた学級を受けもつことになった人。
そして,すさんだ心になってしまった子どもを受けもつことになった人。
特別支援を必要とする子どもを受けもつことになった人。
そんな人にとって,本書は,きっと役立つことでしょう。 |